UCCHAN-BLOG

株式会社enmono技術担当取締役で自社製品開発講座「zenschool」やってる人。モノづくりと禅に関係性がありそうと言うような感性をお持ちの方とは仲良くできるかもしれないです。論理的ではないと忌避感をお持ちの方とは話が噛み合わない気がします 笑

3Dものづくり

いま、本業のzenschoolをVRの中で提供している。

https://zenschool.jp/vr

自画自賛だけどすごいことだな、と思う。

テクノロジー的には、3DCGの処理を、あのVRゴーグルの中でスタンドアローンで行っているということだと思う。

3DCGということで、3D技術について思い出したことなど、だらだら綴ってみたい。

 

その昔、スズキという自動車メーカーにいた。

入社半年は新入社員研修で工場実習でラインに入ったり、営業研修で地元のSBS(スズキ直営のバイクショップ)で働いたりしていた。

半年ぐらいで、配属されたのは生産技術という部署。

生産技術って何するの?って感じでポカンとしたことを覚えてる。

 

ざっくりいうと自動車を作るための設備を企画導入するお仕事かな。

1日400台ぐらい自動車を生産するために工程を設計しその工程に必要な設備を予算内で導入する、みたいなこと。

 

だから最初はとりあえず現場行っとけってな感じで、丸一日工場に張り付いて設備と作業者が何してるか観察していた。

新人だから観察といっても何もわからないけどね。

 

自動車の機種が新しくなるたびに、設備の変更を大掛かりでしなくてはならないので、設備が止まる長期連休に入れ替え工事をする。

そこに立ち会って現場を仕切るのが生産技術のお仕事なので、長期連休に休めないということになる。

でもその分代休が出て、あまり混まない時期にお休みできるところが、実は気に入ってたりした。

 

無事に設備が稼働すると、次の機種変更に向けて仕事するのだけれど、終わったばかりは少し時間ができたりする。

その空き時間に、なんか興味を持ったCADというシステムをいじってみた、というのが3Dとの出会いだった。

 

職場には、社内製CADの、SCAD、CADEMと、IBMのCATIAというのがあった。

で、生産技術の先輩たちは、SCAD、CADEMを使ってたので、端末はあまり空いてなくて、でもCATIAは使う人がいなくて割といつも空いていた。

だから、CATIAを使ってみようといじりはじめた。

でもマニュアルは設計向けに社内で翻訳されたものと、大元の英語のものしかなくて、設計者じゃない自分には、日本語訳のマニュアルではあまり使えなくて、仕方なく英語のマニュアル片手にCATIAを使いはじめた。

 

それが1989年か1990年ぐらいかな。もう30年ぐらい前だな。

 

流れは、最初3D空間上に点を作り、点と点を結んで線を作り、線と線を結んで面を作り、面と面から立体を作り、みたいな感じ。

 

最近のポリゴンCADみたいに、ざっくり立体作って組み合わせて削ってなんてできなかった。

 

だから直感的に触ってればできるなんてことなくて、マニュアル通りに作っていく必要があって、大変だったけどなんか面白かった。

 

生技が3DCAD使うニーズって、ワーク(部品)を受ける治具を作るときに、その受ける面が曲面だった場合、2次元の設計図では寸法が出せない事があって、設計が作った3Dモデルから、治具で受ける受け面の寸法を計算するときに使ってた。

治具で受ける辺りの3DCADの中の曲面と、治具で受けるあたりの断面データを作ってその寸法を計算するみたいなことに使ってた。

 

まあでも生技で3DCAD使うシチュエーションはあまりなくて、CATIA使いこなせても仕事がそれほどない状況ではあったなぁ。

 

その後、工機部に移って5面加工機のNCデータを作るという仕事をするようになった。

その仕事は、CATIAで動くCAMを使ってデータ作成するというものだったので、CATIAを使うことが仕事になった。

5面加工機ってワークの5方向の加工を段取り替えせずにできる機械だったので、加工データを作るときは、5方向から加工するようなデータが必要になり、CAMがデータ作成に用いられていた。

あまり複雑ではない加工データならば、直接加工データを手で打ち込んだほうが早いけれど、それだと機械が止まってしまうので、外段取りしようというのが目的だったようだ。

 

でも2000年問題があってCATIAが使えなくなる可能性も出てきたので、PCで使える3DCAMと3DCAD導入が必要になって、その選定をして実際に導入したのが、次のステップ。

 

いまみたいにインターネット上にほとんど情報はなくて、当然GOOGLEもないし、ツールエンジニアリングとか日経デジタルエンジニアリングのような専門誌を読んで、情報を集めていた。

 

でも3DCAMってほとんどなくて、TEBISとかHYPERMILとかESPRITとか、全部海外製のCAMばかり。

 

で、予算とか機能から絞り込んで導入したのが、ESPRITだった。

でもCAMにほとんど予算使ってしまったので、CADは、SoliEdge Originという無料配布されていた3DCADになってしまった。

でもかなりのことができたので、当面はこのCADでモデリングして、ESPRITでデータ作成するということで、仕事ができた。

この、SolidEdgeってCATIAと違って、今でも使われてるCADと同じく、パラメトリックでフィーチャーベースで、ポリゴンを作っていけるCADだった。

まったく以前のCADと使い勝手やモデリングの概念が違ってて、自分的にはとても使いやすかったけれど、それは先入観がなかったからかもという気がしていた。

社内製CADとか使ってる人たちは見向きもしなかったしね。

 

点を作って線を作って面を作って立体を作って、という手順でずっと長年モデリングしてきた人からすると、異次元なのだろうと思う。

 

いきなり、寸法も適当にポリゴン作って適当に組み合わせフィーチャー作っていって、あとで組み合わせ順変えたり、寸法変えたりできるから、むしろ自分のような素人の方が馴染みやすい。

 

使っていくと、3DCADで何でもモデリングしていけば、工場の設備レイアウトにも使えるな、というふうにも考えるようになって、妄想が膨らんでいったのを思い出す。

 

20年ぐらい前だから妄想でしかなかったけど、今はVRやMRなどでどんどん実現できているから、ほんとすごいなと思う。

 

逆に今妄想してることも20年もしたら現実になるんだなと思うと、ますます妄想が広がっていく。

 

 

まったく技術とか製造業とかとかけ離れた人たちが試行錯誤しながらVR使ってるのをfacebookのタイムラインで見かけると妄想が膨らむ。

 

最近、enmonoがものづくりとかってあまり言わなくなったのは、妄想をもっと膨らませる方向に一層シフトしているからだと思う。

 

なので、もっともっと技術とは縁遠い分野の方々と交流していきたいな、と思う。

 

そのほうが、実は技術の活かしどころが増えるという確信がある。