技術と技能
2008年にこんな投稿をしてた
ライトな内容でつぶやいてた
30年ぐらい前にスズキで働いてた頃に、デンソーの方の記事を読んだことをふと思い出した
大昔に読んだのでどういうものか忘れたけど、ネットでこんな資料を見つけた。近いニュアンスだったように覚えてる
https://www.tetras.uitec.jeed.go.jp/files/data/201402/20140205/20140205.pdf
ざっくりいうと、技術と技能がモノづくりの両輪ということで、形式知としての技術と暗黙知としての技能というふうに認識してた
ある程度知識化できて、再現性のあるような領域が技術で、技能は暗黙知であり、再現性には身体作業を伴うトレーニングが必要だし、同じトレーニングをこなしても人によってバラツキがあるものと思う
多くの町工場さんと関わってると、双方を明確に理解して使いこなしてるところは少ないような気がする
技能を持ってるところの割合が多くて技術に落とし込んで再現性のある技術者育成ができているところは少なかったように思う
これどっちが優れているとかということではなく両輪なので片方だけではある程度のところまでは到達できるけれど、そこを突破してその先にたどり着くことは難しいと言える
昔インクスさんの本を読んだ時に、金型職人さんの感覚をエンジニアをヒアリングして、数値に落とし込んでデータベース化してそれを元に機械操作の反映させて、無理と思われていた短納期を実現したようなことが書いてあった
職人さんの優れた技能があってプラスエンジニアによる技術への落とし込みがあって限界を突破できたのだろうと推測する
昨今のAIの進化においても人間の作業がAIに代替されていくというのも、技能が技術に移転されていくことと同様のことだと思う
技能を担う領域の存在が、むしろAIにどんどん今できていることを代替させて、その先を目指してトレーニングする、そういう姿が理想的なのだろうけど、そういうことに取り組める人ってかなり少数で、仕事として給料と引き換えにしてる限り、限界はあると思う
経済合理性ではありえないけれど、突き詰めることが好きで仕方がないようなごく一部の人がやばい職人としてAIを選考し続けていくのだろうと想像する
技術屋さんはますます暗黙知の技術化にチャンレンジしていく部分で、AIの進化ってすごく役立つ気がする
でも現時点での究極の技能に迫るとしてもそこを追い越すことがまだまだ難しいのかなと思う
ただ、最終製品を世の中に出すメーカー経営者からすると、そこまでの技術が必要なのだろうか、という経済合理性に根ざした考えが合理的判断だろうと思う
しかし10年後とかのその先をめざして企業の持続的成長のためには、基礎的な部分は外せないはずだけど、4半期ベースの決算だと数値的に経営に寄与してないという判断をしてしまう企業も多いのかなと思う
一エンジニア的には没頭して追求したいけど昨今の労働環境的にブラックに当たるので残業せずに帰らざるを得ないだろう
個人的に趣味で突っ込むしかないのかもしれない
ムダと言われることに時間を費やすというのが趣味だろうし、その先に代替の効かない価値があるのかもしれない
知らんけど……
改めてマイクロモノづくりについて振り返る
今から10年前、2013年にこの本を出した。
ご縁があってすばらしい編集者さんのおかげで世に出すことができた。
タイミング的に「MAKERS」という本が出た時期だけど、世間的にはメーカーズムーブメントが起きて、マイクロモノづくりムーブメントは起きなかった。
とはいえ、地道に仲間を集めて、少しずつだけど、日本の町工場さんが自社製品を生み出すことが増えていったと思う。
先日ひさしぶりに、藤沢で町工場NIGHTというイベントが有って顔を出して、現在日本の町工場の自社製品開発を牽引している、おやっさんこと栗原会長とも久しぶりにお話をすることができ、また3代目社長の方々の自社製品開発のお話を伺うことができ、時代の変化を感じてしまった。
町工場関係者ではなく、全く関係のない一般の方々に町工場ファンがけっこう増えてきているらしいという。そういう方々がいることで潜在的な町工場が生み出す製品を購買する一定の存在があり、昔以上に自社製品を行いそこそこの売上が見込めるというのは大きいと思う。
かつては自社製品を生み出すとしても、ものは割とすぐに生み出せるけれど、売るところで躓くことが多かった。今もマーケティングを継続的にしないと売れないのは同じだけど、町工場ファンと言う存在があることが後押ししてくれるのはすごく励みになると思う。
最初は小さく自分たちで企画して自分たちで作り出して自分たちで売っていく、マイクロモノづくりをもっともっと実践して行ってほしいと思う。
そして、なにかしら悩んだり不安になったりすることがあれば、ぜひ相談してください。
と、最後は営業です 笑
こういうことやってるので、お問い合わせくださいね。
お問い合わせは無料ですのでお気軽にどうぞ。その先のディープなところは有料ですので、ご了承ください。
3Dものづくり
いま、本業のzenschoolをVRの中で提供している。
自画自賛だけどすごいことだな、と思う。
テクノロジー的には、3DCGの処理を、あのVRゴーグルの中でスタンドアローンで行っているということだと思う。
3DCGということで、3D技術について思い出したことなど、だらだら綴ってみたい。
その昔、スズキという自動車メーカーにいた。
入社半年は新入社員研修で工場実習でラインに入ったり、営業研修で地元のSBS(スズキ直営のバイクショップ)で働いたりしていた。
半年ぐらいで、配属されたのは生産技術という部署。
生産技術って何するの?って感じでポカンとしたことを覚えてる。
ざっくりいうと自動車を作るための設備を企画導入するお仕事かな。
1日400台ぐらい自動車を生産するために工程を設計しその工程に必要な設備を予算内で導入する、みたいなこと。
だから最初はとりあえず現場行っとけってな感じで、丸一日工場に張り付いて設備と作業者が何してるか観察していた。
新人だから観察といっても何もわからないけどね。
自動車の機種が新しくなるたびに、設備の変更を大掛かりでしなくてはならないので、設備が止まる長期連休に入れ替え工事をする。
そこに立ち会って現場を仕切るのが生産技術のお仕事なので、長期連休に休めないということになる。
でもその分代休が出て、あまり混まない時期にお休みできるところが、実は気に入ってたりした。
無事に設備が稼働すると、次の機種変更に向けて仕事するのだけれど、終わったばかりは少し時間ができたりする。
その空き時間に、なんか興味を持ったCADというシステムをいじってみた、というのが3Dとの出会いだった。
職場には、社内製CADの、SCAD、CADEMと、IBMのCATIAというのがあった。
で、生産技術の先輩たちは、SCAD、CADEMを使ってたので、端末はあまり空いてなくて、でもCATIAは使う人がいなくて割といつも空いていた。
だから、CATIAを使ってみようといじりはじめた。
でもマニュアルは設計向けに社内で翻訳されたものと、大元の英語のものしかなくて、設計者じゃない自分には、日本語訳のマニュアルではあまり使えなくて、仕方なく英語のマニュアル片手にCATIAを使いはじめた。
それが1989年か1990年ぐらいかな。もう30年ぐらい前だな。
流れは、最初3D空間上に点を作り、点と点を結んで線を作り、線と線を結んで面を作り、面と面から立体を作り、みたいな感じ。
最近のポリゴンCADみたいに、ざっくり立体作って組み合わせて削ってなんてできなかった。
だから直感的に触ってればできるなんてことなくて、マニュアル通りに作っていく必要があって、大変だったけどなんか面白かった。
生技が3DCAD使うニーズって、ワーク(部品)を受ける治具を作るときに、その受ける面が曲面だった場合、2次元の設計図では寸法が出せない事があって、設計が作った3Dモデルから、治具で受ける受け面の寸法を計算するときに使ってた。
治具で受ける辺りの3DCADの中の曲面と、治具で受けるあたりの断面データを作ってその寸法を計算するみたいなことに使ってた。
まあでも生技で3DCAD使うシチュエーションはあまりなくて、CATIA使いこなせても仕事がそれほどない状況ではあったなぁ。
その後、工機部に移って5面加工機のNCデータを作るという仕事をするようになった。
その仕事は、CATIAで動くCAMを使ってデータ作成するというものだったので、CATIAを使うことが仕事になった。
5面加工機ってワークの5方向の加工を段取り替えせずにできる機械だったので、加工データを作るときは、5方向から加工するようなデータが必要になり、CAMがデータ作成に用いられていた。
あまり複雑ではない加工データならば、直接加工データを手で打ち込んだほうが早いけれど、それだと機械が止まってしまうので、外段取りしようというのが目的だったようだ。
でも2000年問題があってCATIAが使えなくなる可能性も出てきたので、PCで使える3DCAMと3DCAD導入が必要になって、その選定をして実際に導入したのが、次のステップ。
いまみたいにインターネット上にほとんど情報はなくて、当然GOOGLEもないし、ツールエンジニアリングとか日経デジタルエンジニアリングのような専門誌を読んで、情報を集めていた。
でも3DCAMってほとんどなくて、TEBISとかHYPERMILとかESPRITとか、全部海外製のCAMばかり。
で、予算とか機能から絞り込んで導入したのが、ESPRITだった。
でもCAMにほとんど予算使ってしまったので、CADは、SoliEdge Originという無料配布されていた3DCADになってしまった。
でもかなりのことができたので、当面はこのCADでモデリングして、ESPRITでデータ作成するということで、仕事ができた。
この、SolidEdgeってCATIAと違って、今でも使われてるCADと同じく、パラメトリックでフィーチャーベースで、ポリゴンを作っていけるCADだった。
まったく以前のCADと使い勝手やモデリングの概念が違ってて、自分的にはとても使いやすかったけれど、それは先入観がなかったからかもという気がしていた。
社内製CADとか使ってる人たちは見向きもしなかったしね。
点を作って線を作って面を作って立体を作って、という手順でずっと長年モデリングしてきた人からすると、異次元なのだろうと思う。
いきなり、寸法も適当にポリゴン作って適当に組み合わせフィーチャー作っていって、あとで組み合わせ順変えたり、寸法変えたりできるから、むしろ自分のような素人の方が馴染みやすい。
使っていくと、3DCADで何でもモデリングしていけば、工場の設備レイアウトにも使えるな、というふうにも考えるようになって、妄想が膨らんでいったのを思い出す。
20年ぐらい前だから妄想でしかなかったけど、今はVRやMRなどでどんどん実現できているから、ほんとすごいなと思う。
逆に今妄想してることも20年もしたら現実になるんだなと思うと、ますます妄想が広がっていく。
まったく技術とか製造業とかとかけ離れた人たちが試行錯誤しながらVR使ってるのをfacebookのタイムラインで見かけると妄想が膨らむ。
最近、enmonoがものづくりとかってあまり言わなくなったのは、妄想をもっと膨らませる方向に一層シフトしているからだと思う。
なので、もっともっと技術とは縁遠い分野の方々と交流していきたいな、と思う。
そのほうが、実は技術の活かしどころが増えるという確信がある。
PC自作① core i7 3770 → Ryzen5 3500
2013年から使ってた、Gateway(DX4870-F78F)のPCがそろそろ性能的に不足してきたので、新たなPC導入を模索していた。
普通使ってる分には、まだまだ十分な性能だし、たまにFHDの動画編集するときがフル回転でCPU100%でファンもうるさく回り頑張ってる感を出していたのも、それほど嫌いではなかった。
ただ、VRに関心が出てきて、そのためのコンテンツ作りなども考えると、流石に荷が重いなと想像できるので、PCのアップグレードを検討しだした。
自粛期間ということもあり時間があったので色々と調べて、自作することにした。
心臓部のCPUはコストパフォーマンスが高い、Ryzen5 3500に決めて、あとは予算を勘案しながらパーツ選びを進める。
けっこうこのプロセスがなかなか楽しい。性能に応じて価格も上がるから、自分が望む事ができそなギリギリを探りながらメルカリや、ヤフオク、ドスパラじゃんぱらなどを日々眺めて物色していた。
そして、GWに入ったあたりで、出物のケースをメルカリでゲットしてしまった。
ATXサイズでHDDをたっぷり内蔵できるものを探していて、Fractal Design DEFINE R5を購入。
流石にでかいけど、中が広々として作業しやすそうだし、増設もたっぷりできる。
順次パーツを揃えて、GW中に組み上げてしまった。
パーツ
- マザーボード MSI B450 GAMING PLUS MAX B450/AM4/ATX
- CPU AMD Ryzen 5 3500(3.6GHz/TC:4.1GHz) BOX AM4/6C/6T/L3 16MB/TDP65W
- グラフィックボード GIGABYTE GV-N770OC-4GD GTX770/4GB(GDDR5)/PCI-E/OC版
- メモリー16GB CMK16GX4M1A2400C16
- セットバックプレート Fosa CPUヒートシンクブラケットバック
いざCPUをマザーボードに取り付けようと思ったら、CPUファンを取り付けるためのバックプレートが、中古で購入したマザーボードに付属してなかったので、急遽購入してなんとか取り付ける。他のパーツはただ組み込んでいけばいいので、割と簡単に進んだ。
HDDは手持ちが7台あったけど、マザーボードのSATA端子が6個しかなくて、1台は外付けのままになる。まあ、あとでSATA増設ボードを購入することにする。
OSは前のPCからSDDを移設したら、特になんの設定もなく、ポンと新しいPCでも立ち上がった。あっけなくて驚いた。いろいろ設定面倒そうと身構えてたけど、あっさり。
いろいろとベンチマーク取ったり、動画エンコードしてみたりして、性能の大幅向上を堪能する。
いいもんだ。
めざせ、中年YouTuber
Makerムーブメント宣言 ―草の根からイノベーションを生む9つのルー
Makerムーブメント宣言 ―草の根からイノベーションを生む9つのルール (Make: Japan Books)
- 作者: Mark Hatch,金井哲夫
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2014/07/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (5件) を見る
「Makerムーブメント宣言 ―草の根からイノベーションを生む9つのルール」
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4873116805?ie=UTF8&camp=1207&creative=8411&creativeASIN=4873116805&linkCode=shr&tag=ucchan03-22
発売されてすぐに一気に読み進めてしまった。
マイクロモノづくりを提唱して5年、ほぼ同じ文脈でエッセンスを語っている。
著者でもある、テックショップCEOのマークハッチさんの主張ととてもシンクロする。
うなずきまくりの本である。
製造業の方はもちろんだけれど、それ以外の方にもぜひ読んで欲しいと思ふ。
この本に共感いただける方には、きっとenmonoのこともご理解いただけるのではないかと勝手に思うww
メモ
- ”実際に体験するよりも理論を記憶するほうが早くて済むのだろうが、それでは、ほんとうの意味での知識は身につかないと私は考える。”
- "自由に使える収入をイノベーションに使えば、経済的なコストはゼロだ。"
- "この世界で、まだ利用されていない最大の資源は、<クリエイティブクラス>の人々の暇な時間と創造性とお小遣いだ。"
- "ゼロックスと、有名なゼロックスの研究所PARCで最高技術責任者をしていたジョン・シーリー・ブラウンは、ある日、テックショップへやって来て、子どもたちは「ヘソから」学ぶと話してくれた。"
- "ライフスタイルビジネスとは、創設者に収入をもたらすが、大企業になるほど大きく儲かるわけではなく、大きな<イグジット>もないというビジネスだ"
- "本物の知識は体験を通じて作られる。何かを完全に理解しようと思えば、それに物理的に穴を開けて細かいところまで自分の目で見ていく必要がある。"
- "革新的なアイデアを思いつくためには、自分の手を動かして発見すること、実際に探ることが欠かせない。物事に精通することが大切だ。それには時間がかかる。"
- "最高のイノベーションは、個人またはチームの情熱と興味から生み出されるものだ。研究所や研究機関は、これまでずっと閉鎖的であったため、大きなイノベーションはまだほとんど発掘されていないといっていいだろう。"
- "いい時代に生まれたものじゃないか。これから人類は、それまで経験したことのない最高にイノベイティブな時代に突入すると私は確信している。"