UCCHAN-BLOG

株式会社enmono技術担当取締役で自社製品開発講座「zenschool」やってる人。モノづくりと禅に関係性がありそうと言うような感性をお持ちの方とは仲良くできるかもしれないです。論理的ではないと忌避感をお持ちの方とは話が噛み合わない気がします 笑

<第1条>
受け持ち部品の材料の良否、値段、工作の良否、工賃等を研究し、
常に材料の原価及び適切な工賃より計算して、
無理のない範囲内で最も安く優秀な部品の買い入れに努力すること。

<第2条>
納期に無理が生じないように注文を出し、
予定の納期に必ず納入させるように努力すること。

<第3条>
検査不合格品があった時には、その理由と数量とを検査係より通知を受け、
その理由を部品メーカーが充分わかるように説明する。
また必要によっては部品メーカーを呼んで、
検査係からその不良となった理由を直接明示させ、
今後再びそのような不良品を納入しないように厳しく注意すること。

<第4条>
購買先の選定には特に注意を払うこと。
各方面にアンテナをめぐらし、
他に優秀なところがないかどうかを常に研究しておくこと。
1部品に対してはなるべく2ヶ所に注文することを原則とする。
ただし、止むを得ない場合には、
部長の許可を得た上で、1ヶ所または3ヶ所とする。
1ヶ所の場合は、出来るだけ早く、
他の適切な購買先の選定に努力すること。
3ヶ所以上の場合には、
なるべく従来の注文先に迷惑のかからないように特に注意しながら、
値段が高く、不良が多いところへの注文を
順次減少させていって差し支えない。

<第5条>
他に適切と考えられる部品メーカーがあった場合は、
部長と相談の上、試作をさせること。
そして特に製品が優秀であるとか、
特に安価である場合はその理由を確かめ、
十分な理由が確認できた場合は、
従来の2社と並行して注文を出し競争させること。
ただし、無理をさせて、部品製造工場が
立ち行かないようにしてしまうことが絶対にないように注意すること。

<第6条>
従来外部から購入している部品を当社製にした方が、
コストが2割以上安価で、
しかも性能も優秀な物が出来る見込みがある場合は、
部長に相談し、部長は工務部長と相談した上、
果たして本当に2割以上安く出来るか否かを確認して、
しかる後に両部長相談の上、当社製作に変更すること。
なお当社製品で外部に注文した方が有利と思われるものがある時は、
両部長に申告すること。

<第7条>
各購買係で注文する1台当りの金額は部長に届け出ること。
部長は常務に相談の上、予定金額を定め、
その予定金額の範囲内で買い入れできるように研究すること。
半期に1回以上、購買単価研究会を開催し、
単価の高い安いについて研究すること。
この研究会の人選と時期及び場所は、部長がこれを決定し召集すること。

<第8条>
注文書発行及び注文先に書類を出す時には、
主任または係員の印と部長の印を押して出すこと。

<第9条>
必要に応じては、注文先を巡視してもよい。
その時には部長にその用件を申し出て許可を受けること。
この際、先方にて昼食を時間の都合で工場内でよばれることは
差し支えないが、高級な料理屋でよばれることは避けること。
夕食は絶対に避けること。
もしやむを得ずよばれてしまった時には、
その理由を部長まで書面で出すこと。

<第10条>
購買先からの中元歳暮は出来るだけ断ること。
やむを得ない場合は、それを受け取って部長に提出すること。
また、招待を受けた時には、原則として断ること。
やむを得ない場合は、部長とともに行くか、
部長が出席できない時には、部長の許可を得て出席すること。
注文先の人の家庭訪問は絶対に断るようにすること。

<第11条>
値段の交渉、その他、買入先の人々と対談する時には、
自分の席ですること。応接間でしてはいけない。
ただし、先方の主人または重役相当級の人が挨拶に来られた場合には、
応接間に案内し、丁寧に挨拶し、
部長にも面会してもらうように注意すること。
自席で対談する時に、お客にお茶を出すことは差し支えない。

<第12条>
注文先に出す書簡は会社を代表して出すことになるため、
会社の対面を損することのないよう出来るだけ丁寧な文句を使用すること。
部長はこの書類を見て不満な場合は書き直させること。
また電話をかける場合も尊大振りな電話の対応をすることを慎むこと。
そのようなつまらないことで先方の感情を害することは、
購買係の拙劣であることを示すこととなるため、
部長は常に電話のかけ方が悪い場合は注意すること。

<第13条>
各係はお互いに連絡を取り、材料値段の変化を研究するとともに、
各係お互いの便宜を図り、納期・値段等については
工場全体の立場から見て、ただ単に自分の立場ばかりが有利になることに
没頭することを避けること。

<第14条>
納期督促については、他係からの注意を受けるまでもなく、
常に注意をし、督促係を使用して納期が満足にいくように努力すること。
ただし、会社全体の都合もよく注意し、
他に譲った方が会社として有利な場合にはその方に協力すること。

以上14ヶ条が厳守されているか否かを監視する役目は、
材料係、検査係及び各部長とする。
もし上記事項に違反する行為ありと認められる場合には、
直ちに忠告すべき義務があるものとする。

昭和12年7月15日
常務取締役 豊田喜一郎